クイックレポート

“Aniplex Online Fest 2021”Music Live Part2・Aimer、ライブレポートが到着!

独特の揺らぎと甘さを備えたハスキーボイスで人気を集め、映画やドラマのみならず、数々のアニメ作品にも楽曲を提供しているAimer。今年4月には6thアルバム『Walpurgis』をリリースし、5月に同作をタイトルに掲げたオンラインライブ「Aimer Live at Anywhere 2021“Walpurgis”」を開催したのも記憶に新しいが、“Aniplex Online Fest 2021”では、彼女とアニメとの関係性を語るうえで外すことのできない作品『Fate/stay night』シリーズより2曲をセレクトして歌唱。彼女のライブではお馴染みの野間康介(agehasprings)によるキーボードのみを伴奏に、イスに腰かけながらの雰囲気あるステージングで、世界中の視聴者を魅了した。

彼女が1曲目に選んだのは、『劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅲ.spring song』の主題歌「春はゆく」。三部作となった同映画シリーズのほかの主題歌「花の唄」「I beg you」と同様、梶浦由記が作詞・作曲・編曲を手がけたもので、劇中のヒロインの一人・間桐 桜が辿る命運と物語の結末にしっかりと寄り添う、耳にするたびに切なさと儚さが募る名バラードだ。暗がりのステージには、ピンスポットを浴びたAimerと、それを演奏で支える野間の姿。彼女の足元にはオレンジ色のライトが灯され、それに照らされたスモークが、まるで胸に秘めた情念の炎のようにゆらゆらと揺らめく。そこから“しんしんと降り積もる時の中”で始まる1サビのパートでは、Aimerの足元のステージが白く発光。清らかさと罪深さ、この楽曲の中に込められた二面性のテーマが視覚的にも表現される。2サビではステージ後方の照明が一斉に(間桐 桜の髪色を彷彿させる)すみれ色に色づき、最後には紙吹雪が桜の花びらのように舞い散るなど、春の訪れを感じさせる演出も感動的だった。

そして聴く者の心を震わす熱演を見せてくれたのが、TVアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』の挿入歌「LAST STARDUST」。Aimerが自ら作詞したこの楽曲は、同作の主人公・衛宮士郎とアーチャーの想いに共振する、“理想(ゆめ)”を追い続ける者の覚悟と願いを描いた歌。楽曲が進むにつれて深みを増していくAimerの歌声は生々しく、それだけにライブでしか体験できない熱さを感じさせる。その感情の動きに肉薄した演出を含め、実に見応えのあるライブだった。

TEXT BY 北野 創(リスアニ!)