クイックレポート

“Aniplex Online Fest 2021”Music Live Part1・ReoNa、ライブレポートが到着!

不安や絶望を抱く人々の背中を押すのではなく、その代弁者として、誰かの絶望に寄り添えるような歌を届ける――その独自のスタンスが共感を呼び、若者を中心に幅広い層からの支持を得ている“絶望系アニソンシンガー”、ReoNa。繊細でありながら芯の強さを感じさせる唯一無二の歌声、1つ1つの言葉を真摯に紡ぎ、沈黙でさえも特別な時間に塗り替えてしまう、ライブでの空間支配力の高さもまた、彼女のアーティストとしての特色になっているわけだが、その魅力は今回のオンラインライブでも減ずることなく、むしろモニターの向こう側からでも想いがひしひしと伝わってくるかのようなパフォーマンスを見せてくれた。

この日、ReoNaが“Aniplex Online Fest 2021”で披露したのは、TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』シリーズを彩った、彼女にとっても大切な2曲。1曲目の「ANIMA」は、『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』2ndクールのOPテーマ。作品内容とも深くリンクする“魂の色は 何色ですか”というフレーズで鮮烈にライブの幕を開けると、荒幡亮平(key)をはじめとするバンドメンバーの熱気溢れる演奏をバックに、ときに身を翻しながら、魂をも焦がすような歌声を響き渡らせる。音と光と映像が激しくぶつかり合うようなステージ演出、その熱狂が間奏のパートで頂点を迎えると、照明が暗転し、背後のスクリーンには銀河のような映像が。舞台の中央で一人だけスポットライトを浴びたReoNaは、まるで宇宙空間を漂うような格好だ。彼女は再び“魂の色は 何色ですか”と問いかけ、そこから演奏は一気に加速。ラスサビに突入する瞬間、ニヤリと笑みを浮かべつつ、自らの魂の色や形、ひいては生きる意味を求めるすべての人々の気持ちを代弁するように、彼女だけの“お歌”を届けた。

そしてスケール感のあるバンドサウンドと、引きとアップを組み合わせたカメラワークで、楽曲がもつ世界観をより強く印象づけたのが、『ソードアート・オンライン アリシゼーション』第2クールのEDテーマ「forget-me-not」。イントロとアウトロの部分では、ステージ上空から紙吹雪のようなものが降り注ぐ特殊効果も見られ、まるで風に舞う花びらのようだ(あるいは同曲の歌詞に照らし合わせると「灰」にも感じられる)。手ぶりなどを含めた、ReoNaのひたむきさを感じさせる振る舞いも印象的で、特に“そこにいる それだけで それだけでいいよ”という歌詞に合わせ、カメラに向けて指をさす場面は、彼女が大切にしている「一対一でお歌を届ける」気持ちが表れていたように思う

TEXT BY 北野 創(リスアニ!)