クイックレポート

“Aniplex Online Fest 2021”Music Live Part1・SawanoHiroyuki[nZk]、ライブレポートが到着!

劇伴作家・澤野弘之がボーカル楽曲を重点に置いて展開する音楽プロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk]が1曲目に披露したのは、澤野が劇中の音楽も担当した2014年放送のTVアニメ『アルドノア・ゼロ』第1クールのEDテーマ「aLIEz」。[nZk]名義による1stシングル「A/Z|aLIEz」のタイトル曲でもあり、この曲をきっかけに[nZk]の存在を知った人も多いことだろう。

緊張感と静かな昂揚感を孕んだイントロの第一音を合図に、青白いライトが灯され、澤野とバンドメンバーたちの姿が浮かび上がる。澤野はステージ中央でピアノを弾き、椿本匡賜(g)、藤崎誠人(ds)、田辺トシノ(b)、そしてボーカルのmizukiが、澤野を半円状に取り囲むような配置。シリアスなA・Bメロを経て、情熱的なサビに突入すると同時に、ステージ後方に置かれた巨大なスクリーンに幾何学的な映像が映し出され、その後も楽曲の展開に合わせて様々に映像が変化しながら照明演出と合わさってSF的な空間を形成していく。重厚かつドラマチックなサウンドが絶頂へと至ったあと、その興奮の余韻を残すアウトロのパートで大写しにされた、地球と火星をイメージしたであろう映像は、きっと『アルドノア・ゼロ』の世界観を意識したものだろう。

その後、澤野によるバンドメンバーの紹介を挿み、[nZk]の最新シングル『Avid / Hands Up to the Sky』より、TVアニメ『86―エイティシックス―』第1クールのEDテーマ「Avid」をパフォーマンス。「aLIEz」での光と映像が激しく渦巻くようなステージ演出から一転、雲の切れ間から差す薄明光線にも似た、ステージに神々しく降り注ぐ光芒のようなライトが、厳かな雰囲気をもったバラード曲である「Avid」のエモーショナルな側面をさらに際立たせる。澤野とバンドによる粛々とした演奏、mizukiのしなやかかつ力強い歌声は、まるで天に向かって何かを希求するかのような響きを湛えており、それは『86―エイティシックス―』の主人公であるシンたちスピアヘッド部隊の過酷な物語に捧げているようにも聴こえた。演者たちを様々な角度から捉えたカメラワークを含め、観る側も楽曲の世界に没入しながらじっくりと向き合える名演だったのではないだろうか。。

TEXT BY 北野 創(リスアニ!)