クイックレポート

“Aniplex Online Fest 2021”、「『魔法少女まどか☆マギカ』10年の軌跡」特番レポート

TVアニメ放送開始から今年で10周年を迎えた『魔法少女まどか☆マギカ』。2021年4月25日に全世界同時配信で行われた“『魔法少女まどか☆マギカ』Anniversary Stage”では、『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』の制作も発表され、大きな話題となった。

スタジオには、MCの松澤千晶、アニプレックスプロデューサー・石川達也、『魔法少女まどか☆マギカ』から、鹿目まどか役の悠木碧、美樹さやか役の喜多村英梨、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』から環いろは役の麻倉もも、七海やちよ役の雨宮天、そしてアニメ評論家の藤津亮太、アニプレックスゲームプロデューサー・外山祐介が集まり、『魔法少女まどか☆マギカ』の歴史を振り返っていった。

監督:新房昭之、脚本:虚淵玄、キャラクター原案:蒼樹うめ、音楽:梶浦由記、アニメーション制作:シャフトによって生み出されたTVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』。誰も予想ができない衝撃の展開の数々、アーティスティックな世界観などが話題を呼び、作品はアニメファンだけでなく一般層の視聴者も取り込み社会現象になった。「当時を思い出すと、5年くらい前までは自分が必死だったのと、まどかが辛い運命を辿ることに気持ちを引っ張られていたところもあって、しんどかったことを覚えていたんですけど、10年経つと幸せな記憶がいっぱい浮かぶんです」と、10年演じてきたからこそ感じる想いを悠木が語ると、喜多村もさやかを演じたことについて「第2次ターニングポイントになるような重要なところを担えるとは思っていなかったので、緊張感と喜びのなか、アフレコに臨んでいたことを思い出します。さやかが、この作品にとって重要なキーパーソンの一人だったことは、今となっても嬉しく思います」と話した。

その後、映像とともに作品を振り返ると、物語がなぜドラマチックで面白かったのかを藤津がロジカルに解説していく。ここでは、本作の企画段階で「理想主義の女の子と現実主義の女の子の友情の物語」という説明があったというエピソードを紹介し、「理想主義はまどかで、“最後に現実の枠組み=魔法少女と魔女のルールそのもの”を書き換えてしまう。望む幸せな状態にするためにルールそのものを変えるということは、最初のアイデアの1つの結果でもある」と話していた。そして2013年に公開された、その続編となる『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』については、「現実主義と言われている(暁美)ほむら。現実主義を“せめてこれだけは守りたい”という行動をする人だと考えると、理想主義でルールを変えたTVシリーズに対して、映画でのほむらは“愛”という感情で世界のルールを書き換えているので、コインの表と裏のようになっているんです」と解説。それを聞いて「だからこそ惹かれ合うんだな」と、悠木も興奮した様子だった。

また、映画のラストにほむらが悪魔になるシーンでは、ほむら役の斎藤千和の演技の1stテイクが存在していて、「ほむらのドス黒い感情が出たバージョンがあって、それはお蔵入りにするものではない」という判断から、劇場版のパッケージに、HOMURA 1st take version.として残されていると、石川が映画についての補足をしていた。

そして、2017年8月にスタートしたスマホゲーム『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』。その物語を演じてきた麻倉は「何か闇を抱えている一人一人が集まってきて、そこで生まれる仲間との絆を色濃く描いていくようなストーリーでした」と語ると、雨宮も「ゲームなのでお話が細かく描かれていて、キャラクターに感情移入をしてどんどん好きになるから、この先にどんな絶望が待っているのかと怖くなるんです(笑)。でも同時に温かい物語でもあると感じていました」と話していた。ゲームについては、「4周年を迎える準備も進めているので楽しみにお待ちください」(外山)とのこと。

そしてそのゲームから、TVアニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』の放送が2020年にスタート。これについても、『魔法少女まどか☆マギカ』の次の作品として、深めるのか広めるのかで、後者を選択したタイトルであり「広めることでバラバラにならないために、作品の美術や世界観を地続きにしている。(ツボを)押さえるところと広げるところのバランスが興味深い作品でした」と藤津は述べていた。

そのTVアニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』も多くの謎を残したまま1st SEASONを終え、7月31日からは2nd SEASONがスタートする。それに加え、制作が決定している『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』。この先の10年に向けて動き出した『魔法少女まどか☆マギカ』シリーズに期待は膨らむばかりだ。そして、「楽しみにしていてください。きっとワクワクしていただける内容になっていると思います!」(悠木)と、未来を期待する言葉が送られ、番組を終えた。

TEXT BY 塚越淳一